2014年9月7日日曜日

乳児への「マッサージ」での事故報道についてお伝えしたいこと。

まだ、因果関係ははっきりわかっていませんが・・。

昨日、乳児への「マッサージ」行為で乳児死亡、
の報道が新聞やTVで流れました。
ご覧になった方も多いと思いますがこんなニュースです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
首ひねる独自マッサージ後乳児死亡 NPO代表任意聴取
朝日新聞デジタル 9月6日(土)13時14分配信

 大阪市内で今年6月、乳幼児向けのマッサージを提唱している
NPO法人の代表から施術を受けた乳児が、施術中に意識不明になり、
死亡していたことが捜査関係者への取材でわかった。
大阪府警は遺体を司法解剖し、
代表らから任意で事情を聴くなどして死亡の経緯を慎重に調べている。

 捜査関係者によると、6月2日、生後4カ月の男児が
大阪市淀川区の事務所内で代表の女性からマッサージを受けた。
女性は男児を床にうつぶせに寝かせて首をひねったり、
ひざの上に乗せて首をもんだりしていたが、
施術中に男児の呼吸が止まり、スタッフが119番通報したという。
病院に救急搬送されたが、6日後の同8日に死亡した。

 府警は病院から連絡を受けて捜査を開始。遺体を司法解剖した結果、
死因は脳に酸素が十分に行き渡らなくなる
低酸素脳症による多臓器不全だったという。

 NPO法人の理事の男性は取材に対し、
昨年も代表の施術を受けた幼児が死亡したことを明らかにしたうえで、
「亡くなったのは不幸なことだが、2件とも施術と死亡との
因果関係はないと考えている。警察の捜査に協力したい」と話した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・.

わたしは長男が生まれた1996年からベビーマッサージを始めました。
ケアルームをオープンしてからも10年にわたって
多くのお母さんたちへベビーマッサージの指導し
ラヴィングベビータッチインストラクターの指導者の養成も
行っています。

クリニカルアロマセラピストとして病院や緩和ケア病棟での
アロマセラピーを経験し、
さまざまな手技療法を学ぶなかで
触れることの可能性や広がりや、
ホリスティックな存在であるわたしたちの
こころ、からだ、魂に働きかけるパワフルで
穏やかなあり方を実感してきました。

非医療従事者が指導するベビーマッサージやタッチケアでは
安全であること、がまずなによりも大切なこと。

解剖生理学、神経生理学や赤ちゃんのからだと発達について
どれだけ学んでも学び終わりはなく、
いつでも、いつまでも学ぶ姿勢を重視しています。

乳幼児期だけでなく、いくつになっても
肌への優しいタッチは、わたしたちを励まし、落ち着かせ、
穏やかさと幸福感を喚起させますが、
とくに乳児期のタッチケア、ベビーマッサージなどの
触覚刺激は、心身の発達をはぐくみ、
感覚統合を促し、人が人として生きる力の土台になることが
多くのエビデンスとともに知られてきています。

新聞記事には事故を起こした団体名は出ていませんでしたが
すぐに、あの団体だとわかりました。
何年か前に、今回の事故を起こしたNPO法人の
主催者の書籍を読み、驚き、ずっと考え続けていたからです。
提唱する独特の頸部をそらせた抱っこの仕方やスリングの使い方が、
赤ちゃんのからだのあり方や生理や発達に反していて、
とても苦しそうで、危険だと感じていました。
首を持つ、90度に曲げる、ありえない!!ことです。
本当に、そんな抱っこで、子どもたちはいいのだろうか、
表情を見て、お母さんたちは何か感じることはないのだろうか。


少しでも解剖学を学べば、
首の施術、とりわけ首座りもまだの乳児への
首の施術がどれほど危険なことか、わかるはず。

わたしもアロマセラピーなどのトリートメント時に
首へのアプローチを行いますが、
各人の状態に合わせた手技を、
慎重に慎重に呼吸に合わせて行います。
繊細な手や指の感覚とともに、
相手の動きや呼吸や、肌の変化を読み取りながら、です。
私自身も、どこかで整体や手技療法を受けるときは
よほど信頼関係のある方以外は首は触らないように
お願いするくらいです。
それほど、無防備で、壊れやすく、ちょっとしたバランスの変化や
筋肉の緊張でも、全体に大きな影響を与えるのが頚部だと
認識しています。
なのに、首をこんなに曲げるなんて。
どのような根拠があるにせよ
ひどすぎると感じています。

このような「マッサージ」がベビーマッサージだと、
誤った認識をもたれてしまうことも残念です。

ベビーマッサージの指導者が適切な資格なしに、
赤ちゃんに「施術」をすることはありません!

柔らかな手の温かさ、まなざし、声で触れるタッチケアは、
赤ちゃんにとってもお母さんにとっても大切な関わりを育む時間になります。

わたしたちタッチケアの指導者も、
丁寧に、安全な触れ方、タッチケアの効用を
伝える責任を強く感じています。

ラヴィングベビータッチは、
触れることは愛を伝えることを伝えています。
赤ちゃんのペースにあわせて、
赤ちゃんのからだや表情の変化をよく見て、
触れ、触れられるこの奇跡の時間を楽しむタッチを伝えています。

ラヴィングに触れるしあわせが
人生を彩る大切な喜びとなりますように・・・。

一番可愛いさかりのお子さんを亡くされた
親御さんのお気持ちを思うと胸がつまります。
亡くなられた赤ちゃんのご冥福をお祈りします。